Past Exhibition

ART SHODO EDGE

2023/02/23 - 03/18

ART SHODO EDGE

2023/02/23 - 03/18
@GALLERY SCENA. by SHUKADO

書家の山本尚志氏を中心に活動の場を広げる新しい書の運動「ART SHODO」。
今回は、選りすぐりの8名の作家と 井上有一、篠田桃紅をはじめとする近代書家の作品を対比しながら、現代美術としての「書」をご紹介します。

山本尚志「マシーン」(2022) ©Hisashi Yamamoto, Courtesy of Yumiko Chiba Associates
山本尚志「マシーン」(2022) ©Hisashi Yamamoto, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

今回の展示では下記のイベントを行います

Opening Party
日時:2023年2月23日(木・祝) 15:00-
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ART SHODO EDGE トークショー
日時:2023年2月25日(土)14:00-
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『現代アートと書』座談会
日時:2023年3月4日(土)14:00-
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Nangaku Koun によるライブパフォーマンス
日時:2023年3月5日(日)14:00-
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※スケジュールの都合上、内容が変更となる可能性があります


日本における前衛書道が隆盛を誇ったのが1950年代のこと。その後半世紀以上が経ち、日本の書道界は閉鎖的になり、アートの文脈からは完全に逸れてしまった。その理由は、書道界が師匠と弟子という権力構造を崩さなかった点にあり、新たな発想を持った若手のアーティストがなかなか登場できなかったのだ。本展は、戦後の前衛書の時代に作られた作品と、今の現代アートとしての書道とを対比させるものである。

グウ ナカヤマ「HECK SLACKER 22 ©Goo Nakayama, Courtesy of Gallery NAO MASAKI」
グウ ナカヤマ「HECK SLACKER 22 ©Goo Nakayama, Courtesy of Gallery NAO MASAKI」

グウナカヤマは、自分で文字を作る。公共性を伴わないそれらの行為は、一見突拍子もないことであり、滑稽なことのように映るが、本人は大真面目だ。自分が目で見たもの、そして触れたもの、それはすべて記号化できるのだと、彼の作品は語っている。その作品の発表をもって、彼はそれを宣言しているのだ。

熊谷 雲炎「immune memory」
熊谷 雲炎「immune memory」

熊谷雲炎は、文字を人の形に浮かび上がらせ、何かを訴える。それは、一つのメッセージになっており、文字や言葉そのものだけではまだ足りない面を、その内側に包括しているのだろう。それはきっと、彼女が言葉を紡ぐときに、そのアクションの仕草が、自然に人を描くことの中に現れている。それは、他の誰かの肖像なのか、自身の姿なのか。

七月の鯨「Re:In(fill)terpretation」
七月の鯨「Re:In(fill)terpretation」

七月の鯨の作品は、書道のカテゴリーを広げる試みである。ときには彫刻のこともあり、ときにはタイポグラフィーを思わせることもある。そしてそれは文字を侵食させるという、はかないものとして常に描かれる。言語芸術としてのそれらの作品群は、我々同様、いっときの生命体として、その姿を現す。

すずき のりこ「かわいい100%(キティーコントロール)」
すずき のりこ「かわいい100%(キティーコントロール)」

文字、すなわち言葉とは、人をいかようにも操れると作品の中で雄弁に語っているのが、すずきのりこだ。描かれている作品の中のキャラクターが何かを話すとき、それは見るものを時に欺き、時に納得させる。言葉と一定の距離を取りながら、アクションを繰り返し、そしてアーティストも同時に思考する。そんな姿が見てとれる。

滝沢 汀「象 ーカタドル」
滝沢 汀「象 ーカタドル」

一文字の中に、人の多様性の片鱗を閉じ込め、それを繰り返す。同じ文字でも形が違うので、それぞれに意味が異なって見える。それが、作者である滝沢汀の一流のイリュージョンであり、彼女が言葉を書く意味でもある。同じ文字はもはや同じ意味を持っていないと、そう言わんばかりに。

田中 岳舟「Ground plan」
田中 岳舟「Ground plan」

建築家を志したこともある田中岳舟の書いているものは、全て「あるスケール」を持つ「らしい」。それは曖昧模糊として、誰も証明する者はいない。しかしそもそも、芸術そのものが数式や数の単位をもって、表されるものでもないわけで、そこに思い至る時、我々はすでに彼の作品の術中にはまっている。複層的なフィクションの中のフィクションが、そうさせる。そんな言語芸術。

Nangaku Koun「自然との共栄」
Nangaku Koun「自然との共栄」

僧侶でもあるNangaku Kounは、常に己と作品の中の距離をゼロにする試みをおこなっている。作品はそのまま「彼」であり、どの作品を見ても、そこにアーティストの姿が常に浮かび上がってくる。奇異に映るそれらの試みは、すべて別々に行われ、同じイメージで書かれたものとは到底思えない。そこに生じているのは、諸行無常の具体的な形だと言えよう。

私、山本尚志は、モノにモノの名前を書くというスタイルを持っている。その同語反復的な試みは、時にその狙いを外れ、暴走することもある。しかしそのズレをも楽しむことが出来るのは、言葉を書く行為が、そもそも取るに足らないことからスタートしているからであり、それが、書というものの本来の姿だと思っているからだ。何かを示そうとして、実はいつも失敗している、そんなプリミティブな造作であるのだと。

山本尚志(書家・現代アーティスト)

Nangaku Koun アトリエ
Nangaku Koun アトリエ
グウナカヤマ  制作風景
グウナカヤマ 制作風景

Artists

グウ ナカヤマ
6書家。1975 年、長崎県壱岐島生まれ。40 歳の時、書家井上有一の自由でダイナミックな表現に感銘を受け、墨と紙を使った自分 なりの自由な表現方法を模索し始める。
熊谷 雲炎
社会彫刻の概念を基に制作、主に社会問題や人間、女性をモチーフにしている。作品の根底には必ず古典があり、長い歴史の中で育まれてきた書体を元に文字をオブジェ化している。
七月の鯨
長崎県佐世保市生まれ。陶芸家の父の影響で工芸に囲まれて育つ。石川県金沢市の美術学校を卒業後、モーターサイクルや自動車のデザインを行う傍ら、アート作品の制作を行う。
すずき のりこ
福岡市出身 小学校教員を経て、韓国へ留学。この世界の一側面を言葉で表現する。
滝沢 汀
書家。奈良県出身奈良在住。5歳の頃より書道の道に入り、20歳にて書道師範取得。書壇には所属せずSNS等にて活動展開。
田中 岳舟
Nangaku Koun
山本 尚志

Map

GALLERY SCENA. by SHUKADO
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6丁目15-17クレストコート神宮前1F
03-6805-0887 / info@gallery-scena.com
Opening hours: 12:00 – 18:00 / Closed: 日・祝