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三人展 亀山晴香・菊池虎十・駒嶺ちひろ -分裂と増殖-

2022/11/18 - 26

三人展 亀山晴香・菊池虎十・駒嶺ちひろ -分裂と増殖-

2022/11/18 - 26
@GALLERY SCENA. by SHUKADO

形をほどかれ、変容、増殖するイメージたち。 亀山晴香・菊池虎十・駒嶺ちひろの三人展。

亀山晴香が描くのは夢と現実が混ざったようなカオティックな世界。サイケデリックな色合いの中に現れるキャラクターはどこか懐かしく、作家自身がつくったジオラマの中を動き回ります。作品のベースとなるジオラマ写真、その上から施されるペインティング、そしてスマートフォン向けの画像加工ツールを駆使して繰り広げられるポップで奇妙な世界から目が離せません。
浮遊感のある作品を展開する菊池虎十。伝統的な染色の技法をベースに彼が表現するのは目に見えない“気配”や“残り香”のような曖昧な存在です。ぼんやりとした輪郭で描かれる人物やエイリアン、植物といったモチーフはともすれば2000年代初頭のコンピューターグラフィックのような空気をも醸し出しています。支持体である伸縮性のある布を展示空間に合わせて上下左右に引っ張ることで歪みや捻れを作りだすサイト・スペシフィックな側面にもご注目下さい。
駒嶺ちひろが描くキャラクターはグロテスクながらもユーモラスな魅力が溢れています。”Shape of men” と名付けられたシリーズでは既製品のぬいぐるみを組み合わせたモチーフを自作し、それを油絵で丹念に描き起こすことで人間の描写を試みています。醜さの中にある美しさ・美しさの中にある醜さ…そういった際(きわ)の部分を鋭く表現する彼女の作品はその内側に潜む起爆剤が見え隠れするようでスリリングです。muni Art Award2021にて審査員賞をダブル受賞した実力派でもある彼女の作品世界をお楽しみ下さい。

亀山 晴香「Shapes:square syndrome」
亀山 晴香「Shapes:square syndrome」

自撮り写真をSNSにアップする際に当たり前のように使われる「加工」というツールは、本来の自分自身の姿を隠す行為に捉えられることがある。しかし私はこのツールを大袈裟に制作技法として用いる事で、本質は変わらないが表面上は何者にでもなる事ができるという現実を肯定する。理想を求めすぎる反面グロテスクになってしまう加工と不遇な設定を付けられたポップなキャラクター、娯楽と矛盾が入り交じる様を私達が生きる社会そのものに照らし合わせている。(亀山晴香)

菊池 虎十「homesick ambiguousness Ⅳ」
菊池 虎十「homesick ambiguousness Ⅳ」

何気ない人の気配や姿や形を捉えることができない存在に焦点を当て、モチーフとしている。それらが様々な場所で姿を変化させ、生地という可変する素材に特定の姿をもたないまま表現することを試みている。染料の偶発的な滲みと濃淡による表現でモチーフの流動性を高め、伸縮性の高い布にモチーフを染め上げることでより奥行を感じられる表現を目指している。(菊池虎十)

「Shape of men No.27 頭部に複雑の体-1」
「Shape of men No.27 頭部に複雑の体-1」

私は表現したい人間の側面によってシリーズを分けています。その中から今回は『Shape of men』シリーズを出展します。アニメ、漫画、ライトノベル、etc…、私はそれら創作物に触れるのが好きで、それらに視界が支配されている様な部分があります。そういった視点から見える人々の営みは、現実があらゆる創作物との既視感があり、同時に(媒体が異なるが故?)似て非なるものであることを露にします。創作物のようになりそうでならない、でもなりそうな空気も時にはまとう日常を生きる人々の肖像を、キャラクター造形を生かしたり殺したりしながらリアルなヒトガタへ近づけさせることで表現します。(駒嶺ちひろ)

Artists

亀山 晴香
1998 年生まれ。宮城県出身・在住。東北芸術工科大学大学院芸術文化専攻絵画領域修了。
「娯楽」と「矛盾」をキーワードに、玩具などを用いて作られたジオラマ写真とキャラクターのアナログペインティングを融合した作品や、スマートフォン用画像加工アプリを制作技法として加える作品などを主に制作している。
駒嶺 ちひろ
菊池 虎十

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