藤原彩芽 個展「体温の波がきこえる」
2025/01/10 - 02/01
@GALLERY SCENA. by SHUKADO
この度、GALLERY SCENA. by SHUKADOでは、藤原彩芽 個展「体温の波がきこえる」を開催いたします。
本展は、人と人がどのように存在し合うのかをテーマに探求しており、明るさと不穏さが交錯するモチーフは、まるで現代社会そのものを映し出しているかのようです。
藤原彩芽は2001年、宮城県に生まれ、現在は武蔵野美術大学大学院油絵コースに在籍しています。これまでに、CAF賞2022で保坂健二郎審査員賞を受賞、私どもの主催する muni Art Award 2023ではグランプリと土方明司賞を受賞し、2023年度の武蔵野美術大学卒業制作優秀賞も受賞するなど、今後の活躍が期待される新進気鋭の若手作家です。
藤原は、muni Art Award 2023でグランプリを受賞した際、その不定形の枠に描かれた不穏な動物の描写で審査員一同を強く惹きつけました。彼女の作品には、アーティストとしてなぜ社会と関わるのかという問いが込められており、世界を身体で受け止め、それを表現しようとする若々しい情熱が感じられます。
今回、作家にとって当ギャラリーでの初めての個展となる本展では、「居場所を作ること」をテーマに掲げています。自身と他者との距離や関係性の中で、作家が日々感じる事象から着想を得ながら、独自の作品世界を構築しています。人間に対する欲望や失望といった相反する要素が投影された作品から放たれるエネルギーは、常に動き、広がり続けています。
ここ1~2年の間に、藤原の描くモチーフは暗い色調から明るい色調へと変化を遂げ、四角いキャンバスも用いるようになりました。自己模倣を避け、新たな絵画的挑戦を続ける彼女の姿勢がうかがえます。作品には、楽しげに浮遊したり歩いたりする人物や愛らしいぬいぐるみが描かれる一方で、貼り付けにされたり、道路の下敷きになるような人物が登場し、犠牲を想起させる描写も散見されます。その中には、簡単には踏み込めない「他者」の存在を描こうとする強い意志が感じられます。まるで、作家が世界を丸ごと理解しようとする感覚が、作品を通じて表現されているかのようです。
次世代を担うアーティストとして、藤原が世界とつながろうとする意志を体感できる本展を、ぜひお楽しみください。
※作品の販売につきましては申込制とさせていただきます。
作品購入申し込み受付期間は【1月10日(金)12:00 ~ 1月18日(土)18:00】となります。
結果に関しましては【1月21日(火)12:00~13:00】の間にご当選者にのみお電話にてご連絡いたします。
作品の納品は会期終了後、順次発送を予定しております。
※会期の前半【1月10日(金) ~ 1月18日(土)】と後半【1月21日(火) ~ 2月1日(土)】の間に、一部展示替えを予定しております。
Open : 12:00 – 18:00
Closed: 日、月、祝
なお、GALLERY SCENA.は本展示をもって現在の地での活動を終了し、新たな場所での活動を開始いたします。今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
GALLERY SCENA. + 秋華洞 代表 田中千秋
集団に命ごと価値がないように扱われたり、その光景を見たりした経験から、私は「強い人間」を目指すようになりました。「強い人間」は、人の気持ちや人の存在を無視しても構わないような免罪符を持っているように思ったからです。
しかしこの免罪符が周囲に多く普及した今では、人間に強弱をつける性根で胸を張ることはこの世で一番情けないことだと考えるようになりました。
素直でいるには深く傷つく勇気が必要です。それでも私には、大切な人は大切にし続けたいという夢があるから、見せかけの強さを手にいれて、人間を交換可能な「部品」にするようなことは、何度も互いの不完全さによって傷つけ合ったとしても、避けたいところです。
人がいて、存在できる場所がたくさん見えてきて、この星で生きている。ただそれだけでいいと感じられた時に私は幸せを感じます。この希望はどんな場所にいても波のように押し寄せて欲しいと願っています。
藤原彩芽