三塚新司個展「誰がバナナを食べたのか?」
2023/09/01 - 10
@GALLERY SCENA. by SHUKADO
このたびGALLERY SCENA.では、三塚新司個展「誰がバナナを食べたのか?」を開催いたします。
三塚新司は現代資本主義を「コメディ」と捉え、利益追求や情報過多に揺れる社会を作品で表現しています。三塚の「バナナの皮」は現代社会の風刺です。彼の独自の視点を通じて社会の皮肉や課題が浮き彫りになる展示をぜひご覧ください。
誰がバナナを食べたのか?
私にはコメディが必要だった。
資本のルールに取り込まれた理性が、グローバリゼーションによる構造変化、デジタルイノベーションによる情報過多という状況を作り出し、あらゆる社会問題を複雑化させてしまったように感じる。
恐らく世界は産業革命を超える速度で変化している筈だが、それは資本主義の勝利によって価値観の共有が成されるようになった為に起きている。しかし単独で自己の正当性を証明しようとする資本主義は、個人から国家に到るまでの全ての経済主体に、利益最大化の義務を背負わせる。そしてそれは「豊かさ」と「リスク」の交換をも求める。
私はその構造をコメディだと感じている。
市場の自由が個人の自由を市場化する帰結は、計画経済を遥かに超える計画性を孕んだ未来社会の可能性を持っているし、「豊かさ」と「リスク」の交換は、人口増加に悩む地球環境問題の解決の端緒ともなり得るからだ。
私は「疑問」を持っている。
Artは現実にいかに関わるべきなのだろうか?
美術作家は、社会や政治の現実をどのようにして捉え、どのようにしてそれに関わるべきなのだろうか? 美術の世界が紡ぎ出してきた「文脈」と呼ばれる概念と、現実への認識を、どのように組み合わせるのが正しいのだろうか?
見えている「バナナの皮」ならば、それを踏んで転ぶことはない筈だ。
私は、現実への接触の為に、作品を制作している。(三塚新司)